(hu3)の語源



 「虎」という字は、字形のとおりトラの姿を描いた象形文字だが、なぜ「トラ」を「コ」と呼ぶのだろうか?

 動物園に行ったことがある人は、虎の「ホオー! ホー!」というなんともいえない恐ろしげな声を聞いたことがあることでしょう。

 音読みの「コ」、北京語では「hu3」 ・・・ というのは、虎が吠える声をとった擬声語だと思われる。

 「猫」のことを「mao1」と呼ぶのと同じ。


<引用はじめ>
 ニワトリはケーケーと鳴くので(ケイ・唐代には kei)といい、
 カラスはアーアーと鳴くので(ア・唐代には a1)という。
 トラはおそろしい声でホーホーとほえるので(コ・唐代には ho)と呼ぶし、
 キツネはクワクワと叫ぶので(コ・漢代には hua)という。
 してみると、イヌを(ケン)と称するのは、いうまでもなくそれがケンケン(k'uen)と鳴くからだ、と考えてよい。犬(ケン)ということばは、いわゆる擬声語なのである。

『漢字の話T』(藤堂明保・朝日新聞社)
<引用おわり>

 ・・・ 李時珍いう虎はその声に象(かたど)ると、虎唐音フウ、虎がフウと吼(ほ)えるその声をそのまま名としたというんだ。これはしかるべき説で凡(すべ)てどこでもオノマトープとて動物の声をその物の名としたのがすこぶる多い。 ・・・

虎に関する史話と伝説民俗(南方熊楠 ・ 十二支考)

虎の威をかる狐

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