[戀(恋)]
千々に乱れる恋心
ところで「もの思う」とは、どういう心理でしょう。
戀(恋)の字の上部を見てください。昔「イトしイトしと言うココロ」と唱えながら暗記したように、左右に糸を書き、中央に言の字が座っている。
言とはズバリと裁断する明白なコトバのこと。糸が左と右にあって、容易に裁ち切れぬさまをにおわせたのが、この「戀」の上部です。
まさしく糸が乱れて千々に乱れる、そのような心を表すコトバだったんですね。
今日の楷書は、秦の始皇帝が統一して定めた小篆の字体を継承したものですが、秦の統一のさい採用されなかった古代文字のことを「古文」よびますが、恋の字の古文は、ほとんど亂(乱)の字の左側と同じです。ということは、恋−乱は、きわめて近いコトバだということがわかります。
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