漢字家族


一壺天
いっこてん


 「壺中天」(こちゅう・の・てん)ともいう。

 小天地、あるいは別世界の意味。

 ギリシア語のミクロス・コスモス、英語のマイクロコズム 。

 汝南(ジョナン)の費長房という人は市場の吏員であったが、その市場に薬を売る老人があった。

 店先に一つの壺(つぼ)が懸(か)けてあった。商売が終わると、いつでも、老人はその壺の中にとびこんで姿を隠すのであったが、誰もそんなことには気づかない。

 費長房がある日、役所の窓から、それを見て、これは不思議と、老人に会いに行き、その中へいっしょにはいった。

 すると、壺の中には立派な宝石で飾られた豪華な部屋があり、美酒佳肴(カコウ)がいっぱい並べてあった。

 そこで老人と大いに飲んで、また壺から出てきた -- というお話。

 『後漢書』「方術伝」にある物語。この薬売りの老人は仙人であったわけ。

 翁は約束して、このことを他人にいうのを許さなかった。
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